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技術編

比喩表現

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 比喩表現とは、ある物事を別の物事にからめて表現する文章技術です。
 日常で意識せずに使われている、”パトカーに捕まった”や”学校のアイドル”も比喩表現の一部です。
 比喩には直喩・隠喩・換喩・提喩などがあります。
 とりあえず直喩をマスターすると文章の幅が広がります。
 直喩はとてもわかりやすいです。
・男はまるで丸太のように太い腕をしていた
・彼はハイエナみたいな声で笑った
・彼女は向日葵のような少女だ
 「まるで~~のようだ」や「~~みたいな」と、文章で明示されています。
 比喩表現を織り交ぜることによって文章が単調になるのを防ぎ、抽象的な情報を効果的に読者に伝えてイメージを共有することができます。
 また比喩には強調や誇張の効果もあります。
 ”僕は彼女のことをとても愛している”と”僕は彼女のことを死ぬほど愛している”では、”死ぬほど”の比喩表現を使ったほうが気持ちが強く伝わると思います。

 オリジナルの比喩表現であれば文章に個性が生まれます。
 とくにこの直喩が上手い作家が村上春樹です。他の作家から比喩表現の使いすぎと叩かれるほどオリジナリティに溢れています。

例)
 鼠はおそろく本を読まない。彼がスポーツ新聞とダイレクト・メール以外の活字を読んでいるところにお目にかかったことはない。僕が時折時間潰しに読んでいる本を、彼はいつもまるで蝿が蠅叩きを眺めるように物珍しそうにのぞきこんだ。
『風の歌を聴け 作:村上春樹より』

 この一節を読んだだけで蠅が蠅叩きを見詰めているシーンが浮かんだと思います。同時に友人の鼠が読書と無縁な人間であることが誇張されています。重要なのは読者に的確に伝わることです。でなければわざわざ比喩表現を使う意味がありません。

例)
 一年のあいだに直子は見違えるほどやせていた。特徴的だったふっくらとした頬の肉もあらかた落ち、首筋もすっかり細くなっていたが、やせたといっても骨ばっているとか不健康といった印象はまるでなかった。彼女のやせ方はとても自然でもの静かに見えた。まるでどこか狭くて細長い場所にそっと身を隠しているうちに体が勝手に細くなってしまったんだという風だった。
『ノルウェーの森・上 作:村上春樹より』

 気のきいた比喩表現が思いついた場合にはメモを取っておくと良いでしょう。

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