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小説の書き方(素人)

技術編

登場人物はなるべく少なく

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 小説がアニメや漫画と大きく違うのは映像がないという点です。
 映像は視覚的情報です。画があれば登場人物に吹き出しをつけるだけで誰がしゃべっているか一目瞭然ですし、どんな容姿をしているか、どんな表情をしているか、どんな服を着ているかまですべて瞬時に読者に伝わります。
 しかし、小説の場合はそうはいきません。登場人物が増えるとその分だけ説明しないといけません。自然と文章は冗長になりますし、読者は誰がしゃべっているんだろうと考えなければいけません。もしかすると台詞と人物が一致せずに混乱するかもしれません。
 三人称視点の小説ならばまだいいですが、一人称視点の場合はなるべく場面ごとの登場人物を限定した方が書き手にとっても読み手にとっても得策です。
 理想は一対一の場面を作る事です。
 一対一にしてしまえば、主人公がしゃべった後の「」は相手の言葉だと説明がなくてもわかります。

例)
 キツネが現れたのは、そんなときだった。
「こんにちは」キツネが言った。
「こんにちは」王子さまはていねいにあいさつして、ふりむいた。だがにも見えない。
「ここだよ」声だけがする。「リンゴの木の下」
「きみ、誰?」王子さまは聞いた。「きれいだね、きみ……」
「キツネだよ」キツネが言った。
『星の王子さま 作:サン=テグジュペリより』

 『星の王子さま』は、王子さま・主人公の他にバラやキツネやヘビなど、登場人物がいますが、基本的に一対一の場面のみで構成されています。説明がなくても誰が誰に対してしゃべっているのかすぐにわかります。

例)
 広田先生は別に、そういう料簡もないと見えて、こういった。
「君が、あんまり余計な話ばかりしているものだから、時間が掛かって仕方がない。いい加減にして出て来るものだ」
「よほど長くかかりましたか。何か画をかいていましたね。先生も随分呑気だな」
「どっちが呑気か分かりゃしない」
「ありゃ何の画です」
 先生は黙っている。その時三四郎が真面目な顔をして、
「燈台じゃないですか」と聞いた。描手と与次郎は笑い出した。
「燈台は奇抜だな。じゃ野々宮宗八さんを描いていらしったんですね」
「何故」
「野々宮さんは外国じゃ光ってるが、日本じゃ真暗だから。--誰もまるで知らない。それで僅かばかりの月給を貰って、穴倉へ立籠もって、--実に割に合わない商売だ。野々宮さんの顔を見る度に気の毒になって堪らない」
「君なぞは自分の座っている周囲方二尺位の所をぼんやり照らすだけだから、丸行燈のようなものだ」
 丸行燈に比較された与次郎は、突然三四郎の方を向いて、
「小川君、君は明治何年生まれかな」と聞いた。三四郎は単簡に、
「僕は二十三だ」と答えた。
『三四郎 作:夏目漱石より』

 こちらは広田先生と与次郎と三四郎の3人が会話をしている場面です。
 一対一の会話よりも複雑なのがわかると思います。
 読む側はちょっとカロリーが増える程度かもしれませんが、書くとなるとAのアクションに対するBとCのリアクション、そらにそれに対するリアクションとパターンが増えます。単純にはいえませんが2~3倍の考える労力が必要になります。
 経験があるなら3人ぐらいの会話にチャレンジするのも良いですが、自信がつくまではなるべく登場人物を限定するようにアイディアをひねりましょう。

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