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小説の書き方(素人)

準備編

視点を選ぼう

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 まだ書き始める前に決めておくべき重要なことがあります。
 それは小説をどの視点で書くかです。
 小説には大きく分けて一人称視点と三人称視点があります。
 一人称とは、自分(主人公)視点で物事を見て、それを自分語りで誰か(読者)に聞かせるような文体のことです。だいたい主語が”私は~”や”俺は~”など一人称(自称)になっています。
 一方、三人称は物語全体を俯瞰的に眺めて実況する文体とでも言うでしょうか。”主人公は驚いた”や”早乙女好雄はニヤリと笑った”など、主語が固有人名や人称代名詞になっている場合が多いです。マンガや映画はすべてこちらになります。いわゆる神の視点です。
 日本の小説は三人称視点が多くて、欧米の文学は一人称視点が多い傾向にあります。
 以下に自分が思う一人称視点と三人称視点のメリットとデメリットをまとめてみました。

『一人称視点』
メリット
 ・文章が書きやすい
 ・一貫性があり文章がすっきり仕上がる
 ・感情移入しやすい
デメリット
 ・主人公が知り得ない出来事(事象)を書くことができない
 ・エンターテイメント性の高い小説には向かない
 ・作品全体が主人公依存になるため読者を選ぶ

『三人称視点』
メリット
 ・情緒のある描写が可能
 ・時間や場所に縛られることなくあらゆる出来事(事象)を書ける
 ・相手の心理などを描写できる
 ・エンターテイメント性の高いシナリオに適している
デメリット
 ・ある程度の文章技術が必要
 ・視点が動くため読者が混乱することがある
 ・書いていて自分で混乱することがある

 書き始める前にどちらで書くか決めておきましょう。
 はじめての人は一人称で書くことをオススメします。まずは基本的な文章作法をマスターしてから三人称視点にチャレンジすると良いでしょう。
 以下は一人称と三人称の例文です。

(一人称
 そういうのはとんでもなく汚いやりくちだ。でも僕はそこに行って答案を取り、先生に手渡した。だってさ、いやですね、そんなことやりたくありませんね、なんて言えないじゃないか。それからまたセメントなみにがちがちの先生のベッドに腰を下ろした。やれやれ、先生に別れの挨拶をするためにここまで出向いたことを僕がどれくらい悔やみ始めていたか、君にはたぶん見当もつかないだろうよ。
 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(作:J.D.サリンジャー、訳:村上春樹) より

(三人称
 屋根の上と庭--そのあいだに、さみだれは無数の銀の糸をひいている。
 庭に立っている三人の背に冷たいものがながれたのは、むろん雨のせいではない。思うにその曲者は土戸の廂(ひさし)を踏台に、大屋根と地上を往来したにちがいない。先刻、階段にのこされた足跡から判断しても、彼がこの超人的な体術を持っていることは疑えない。しかし、鉄斎、孫兵衛、銀四郎を立ちすくませたのは、それに対する恐怖ではなかった。彼らはそんなものを恐れはしない。
 『柳生忍法帳』(作:山田風太郎)より

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